スキンケア大辞典【看護師サポートナビ】

アトピー性皮膚炎の最新治療

アトピー性皮膚炎について

アトピー性皮膚炎は、いまやアレルギー疾患の代表格といえるものです。

 

以前は、アトピー性皮膚炎は、子どもの頃に発症し、
思春期の頃になると自然に治っていくという皮膚疾患でした。

 

しかし、最近は、思春期を過ぎても治らなかったり、
大人になってから再発する人もいて、
成人のアトピー性皮膚炎の患者さんも増えています。

 

これは、住環境の変化や食生活の変化が要因になっていると考えられますが、
慢性化する人や重症化する人も増えていて、
問題となっています。

 

日本皮膚科学会は、
『アトピー性皮膚炎は、「かゆみ」が主症状で、
憎悪と緩解を繰り返す湿疹で、
患者さんの多くはアトピー素因を持つ』としています。

 

つまり、アトピー性皮膚炎とは、
アトピー素因や環境などの皮膚炎を誘発する要因があると、
湿疹反応を慢性的に繰り返す難治性の炎症性皮膚疾患をいいます。

 

アトピー素因とは

 

・家族歴

 

親がアトピー性皮膚炎を発症したことがあったり、
現在もアトピー性皮膚炎があると、
その子どもがアトピー性皮膚炎を発症するリスクが高くなります。

 

・既往歴

 

アレルギー性鼻炎、気管支喘息、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちのいずれか、
或いは複数の疾患を持っている場合、
「アトピー素因がある」といいいます。

 

・IgE抗体を産生しやすい体質

 

アトピー性皮膚炎の治療

 

アトピー性皮膚炎の治療には、以下のような治療があり、
特に薬物療法では、患者さんそれぞれの重症度や皮疹の部位、
性状、年齢などに応じた薬剤を選択していくことが必要です。

 

・アトピー性皮膚炎の悪化因子の対策

 

アトピー性皮膚炎を悪化させる因子には、
発汗、細菌真菌、接触抗原、環境因子、ストレス、食べ物などがあります。

 

検査をすることによって、悪化因子を特定し、
その因子を日常の生活からなるべく取り除いていくことが必要です。

 

・適切なスキンケア

 

適切なスキンケアをしていくことが必要です。

 

肌に負担のないスキンケア用品を選び、清潔や保湿に努めることが大切です。

 

・薬物療法

 

薬物療法の3本柱は、ステロイド外用薬、抗ヒスタミン薬、
抗アレルギー薬となっています。

 

年齢や性状、重症度に応じて、
患者さんそれぞれに合った薬剤を選び、用いることが必要です。

アトピー性皮膚炎の最新治療

アトピー性皮膚炎の最新治療として注目したいのは、
かゆみに関わるIL-31(インターロイキン31)と
IL-4(インターロイキン4)を抑制する抗体製剤が開発中であるということです。

 

アトピー性皮膚炎は、かゆみを抑えることがとても大切なのですが、
そのかゆみの緩和を持つ薬剤が
IL-31(インターロイキン31)と
IL-4(インターロイキン4)に関連した抗体製剤です。

 

これらの薬を開発している中外製薬・ロシュ社によると
IL-31(インターロイキン31)は、
アトピー性皮膚炎のかゆみの誘発に関わっていることが分かっています。

 

そして、IL-31が受容体に結合することを阻害し、
かゆみを抑制することにより、
かゆみと?破の悪循環(itch-scratch-cycle)を断ち切ることができるので、
皮膚炎の改善を目指すことができるというものです。

 

現在、第I相試験が行われていて、第U相試験も予定されているそうです。

 

また、IL-31に関わる薬剤は、アメリカのプリストル・マイヤーズスクイブ社でも
第I相乗試験を行っています。

 

IL-4についてもアメリカで開発が進んでいますし、
日本でも後期第U相試験の開始が予定されています。

 

かゆみに対する薬には、抗ヒスタミン薬がありますが、
この抗ヒスタミン薬では、かゆみが強いとかゆみを取りきれないことが多いです。

 

今までは軟膏などの外用薬を使って治療してきましたが、
近い将来には、抗体製剤によって注射療法ができるようになり、
アトピー性皮膚炎に対する幅広い治療を行うことができるようになるでしょう。

TARC検査を患者指導に役立てる

TARCとは、thymus and activation-regulated chemokineの略称で、
アトピー性皮膚炎の重症度評価の補助になる検査のことです。

 

TARC検査は、外来でもできる採血検査で、
変動も短期間なので、現状を知ることができ、
治療前の値、薬などでの治療後の値を客観的に見て、
アトピー性皮膚炎の治療に役立てていくことができます。

 

アトピー性皮膚炎は、さまざまな刺激によって、
表皮角化細胞などから
TARC(thymus and activation-regulated chemokine)の産生が誘導され、
増強されるので、この検査をすることによって皮膚症状が
鋭敏に反映されます。

 

アレルギー反応を亢進させ、症状を悪化させるTARCが多いことが分かると、
アレルギー炎症が進行しているということが分かるわけです。

 

血清TARCは、アトピー性皮膚炎の皮膚病変が
重症になるほど高い値になり、
病変が治ってくると値も低くなります。

 

また、TARC値は短期間に変動するので、
皮膚症状の現状を知ることができます。

 

ですから、アトピー性皮膚炎のときに、
皮膚症状の見た目だけでなく、TARC検査を行うことで、
アトピー性皮膚炎の重症度判定が数値によって
客観的に判断できるようになります。

 

客観的に判断できれば、適切なステロイド外用薬の選択ができ、
より効果的で効率のよい治療ができるのです。

 

また、ステロイドの強さの切り替えも、
TARC検査の客観的データにより容易に行うことができます。

 

見た目には「治った」ように見える場合でも、
TARCの数値で客観的に判断することができるため、
アトピー性皮膚炎の症状の悪化、かゆみの増強、?破、さらに憎悪という
悪循環も避けることができます。

 

また、見た目が良くなると、
自己判断で治療をやめてしまう患者さんも多いのですが、
TARCの値を客観的にみることができると、
数値が低くなるまで、治療をやめないようにという指導が
しやすくなります。

 

お薬を使って治療をした場合、
その効果がきちんと現れているかということを知ることもでき、
皮膚科医の診断に役立てることができるというのは
画期的なことであるといえるでしょう。


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