スキンケア大辞典【看護師サポートナビ】

表皮層の特徴

表皮層の特徴

ケラチン(角質)で覆われている表皮の表面は、「角質層」といいます。

 

角質は、すでに壊死した表皮で、
垢となって脱落する前の姿です。

 

しかし、この角質層には、とても優れたバリア機能が備わっています。

 

角質層が持つバリア機能とは、
角質細胞間脂質や汗腺・皮脂腺から分泌される皮脂膜が体表面を覆い、
水分の蒸発や乾燥、外部環境からの侵入を防ぐというものです。

 

ですから、角質層が何らかの要因によって障害され、
角質の水分量が減少したり、ひび割れるなどして
バリア機能が低下した「ドライスキン」の状態になると、
刺激物の侵入が容易になり、さまざまなトラブルが起こります。

 

とはいっても、逆に皮膚が水に浸漬した状態になる「浸軟」になると、
外部からの水分を吸収し、角質細胞内の水分量が増加してしまいます。

 

この浸軟の状態では、角質細胞の結びつきが緩んでしまうので、
表皮剥離(スキンテア)というトラブルが起こりやすくなります。

 

表皮剥離(スキンテア)とは、
紙のように薄くなってしまった皮膚が、
わずかな刺激よってはがれてしまう外傷のことをいいます。

 

オムツをしている患者さんなどに診られる皮膚トラブルです。

 

しかし、高齢になると、皮膚が薄くなるため、
たとえば、患者さんの体を洗うときに力が強すぎ、
表皮剥離させてしまったり、
着替えを手伝っているときに袖を引っ張ろうとして
表皮まで剥離させてしまうなどのトラブルもあります。

表皮が作られるのは基底層

表皮が作られるのは、「基底層」という部分です。

 

基底層というのは、表皮の最も深い部分にある真皮層に接するところで、
皮膚の付属器でもある毛穴(毛嚢)や皮脂腺、汗腺にも存在しています。

 

基底層は、表皮細胞が面状に一列に並んでいます。

 

そして、細胞分裂が行われると、体表に向かって細胞の形態が変化し、
最終的に角質となります。

 

このようなサイクルを新陳代謝といい、
表皮の内部では、一定の期間で新陳代謝が行われ、
新しい細胞が生まれています。

 

さて創傷が治癒したとき、
創の表面が表皮で覆われることが必要です。

 

創の表面がしっかり表皮で覆われるためには、
基底層の表皮細胞の有無がとても大切なポイントになります。

 

たとえば、最も浅い創傷である水疱や表皮剥離は、
細胞が分裂する基底層が面状に残されているので、
条件が整いさえすれば、表皮はとても早く形成され、
早く治癒へ向かうことができます。

真皮層は全て生きた細胞で形成されています。

 

これは、表皮とな異なる点ですね。

 

表皮剥離などによって真皮層が露出してしまった場合、
乾燥した環境下では細胞は壊死してしまいます。

 

そして、その分、創は深くなり、治癒も遅くなってしまいます。

 

さらに、真皮層では、
基底層のすぐ下で毛細血管がループを作っていて、
豊富な血液が流れていますし、
周囲には神経線維もあり、
皮膚のいろいろな感覚をキャッチしています。

 

このようなことから、真皮層が損害されると、
すぐに痛みが起きたり、出血したりします。

 

毛嚢は、真皮層の最も深い部分まで届いています。

 

そして、毛嚢の根部には、血管や神経が分布しています。

 

つまり、毛嚢の内面も基底層で覆われているのです。

 

真皮層がある程度残った創傷(中間層損傷、部分層損傷)では、
毛嚢のほとんどが創面で切断されたようになります。

 

しかし、毛嚢の切断面には基底層があるので、
表皮剥離創と同じように創全面で表皮化することができます。

 

汗腺でも、同じように基底層があります。

 

ですから、毛がない手のひらや足の裏などでも、
中間層損傷では、創全面での表皮化がおきるのです。

 

さて、真皮層は、皮膚の構造的な強さの源となるコラーゲンと、
皮膚に柔軟性をもらたらすエラスチンという
強い線維質でほとんどが構成されています。

 

そして、真皮層は皮膚及び皮下の中で、
構造的に最も丈夫な組織であるだけでなく、
虚血に対してももっとも強い器官でもあります。

 

ですから、褥瘡のような皮下の軟部組織全層の虚血をもたらす病態では、
真皮層が最後に壊死に陥ります。

 

寝たきりの患者さんでは、「褥瘡」が起こりやすいです。

 

褥瘡とは「床ずれ」のことで、
骨が出ているかかとや肘、腰骨などの
皮膚が薄い部分の組織が圧迫されることによって起こる皮膚疾患です。

 

褥瘡の初期は、皮膚に赤みが見られる程度ですが、
適切な処置をしなければ、水疱やびらんがみられるようになり、
いったんできてしまうと治りにくい状態になってしまいます。

 

褥瘡では、真皮層が壊死してしまうと、
ステージU〜Vを通り越し、
一気に筋や骨膜を巻き込んだステージWの褥瘡になってしまうのです。

 

* 褥瘡のステージ

 

 ステージI:急性炎症を伴うが、表皮のみの浅い褥瘡
 ステージU:真皮、皮下組織に達している褥瘡
 ステージV:筋肉にまで達している典型的褥瘡
 ステージW:骨組織にまで達していて、骨および関節が破壊されている褥瘡

 

皮膚の中の比較的弱い部分である表皮層で表皮剥離が起きても、
真皮層を乾燥から守り、除圧をきちんと行うことによって、
真皮層の血流が保たれるので、表皮化を速やかに促すことができ、
創傷は、1〜2週間ほどで治癒させることができます。

 

また、真皮層には、神経終末が集中しています。

 

たとえば、垢すりのような表皮の部分的な剥離では痛みを感じません。

 

ですが、表皮の薄い部分が乾燥や薬液などの刺激によって
痛みや痒みを感じるのは、
表皮のすぐ下にある真皮層にある知覚神経が刺激されるからです。


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