スキンケア大辞典【看護師サポートナビ】

創傷の表皮化が起こるメカニズム

創傷の表皮化が起こるメカニズム

浅い創傷での表皮化

 

表皮は基底層で作られます。

 

そして、基底層は、皮膚の付属器官である毛嚢、
皮脂腺、汗腺にも存在していて、
毛嚢は、表皮層の下にある真皮層の深いところまで届いています。

 

浅い創傷の場合は、層が真皮層内にとどまっているので、
創面には毛穴が露出し、基底層が散在している状態になります。

 

ですから、創の全面で表皮化が進行するので
治癒までにかかる期間も少なくて済みます。

 

また、毛嚢や汗腺も再生されるので、
治癒面は、創傷を負う前と同じ状態になることができます。

 

このような浅い創傷を「中間層損傷(部分層損傷)」といい、
創傷が治った状態を「再生治癒」といいます。

 

深い創傷での表皮化

 

創傷が、皮下組織にまでいたるような深い創傷では
状況が一変します。

 

創傷が、皮下組織にいたるということは、
真皮層を超えているということです。

 

深い創傷で、基底層が見られるのは、
創面の辺縁部だけです。

 

皮下組織には、表皮細胞が横方向に延びていて、
必要なコラーゲンはほとんど存在しませんから、
創傷が治癒する際は、創の収縮が起こってしまいます。

 

創の面積を減少させることにより、治癒にかかる時間は短くなりますが、
浅い創傷と比較すれば、それでも治癒までには長い時間がかかります。

 

このような、真皮層を超え、
皮下組織にまでいたる深い創傷を「全層損傷」といいます。

 

創の治癒後の皮膚が、表皮細胞だけで作られている深い創傷の場合は、
毛嚢も皮脂腺も汗腺もない、異常な状態になってしまいます。

 

これを「瘢痕組織(瘢痕治癒)」といいます。

 

瘢痕組織は、コラーゲンが多いので硬くなり、
エラスチンが少ないために収縮力が十分ではなくなります。

 

このような状態のところに、さらに、摩擦などの力が加わることによって、
表皮剥離しやすくなってしまいます。

 

また、瘢痕組織となってしまった部分は、
皮脂腺や汗腺がないため、表皮が乾燥し、ドライスキンになります。

 

ドライスキンになった肌は、ひび割れしやすくなり、
バリア機能が十分ではない弱い肌になってしまいます。

 

表皮化へ導くには乾燥と消毒を避ける

 

さて、創傷を負った肌は、表皮化へ導くことが必要です。

 

創傷が深くても、浅くても、適切に表皮化へと導かなければなりません。

 

創傷が浅い中間層損傷では、
全層損傷へと発展しないように、乾燥と消毒を避けることが必要です。

 

中間層損傷を乾燥させると、カサブタが作られます。

 

カサブタが作られると、創が0.5mmほど深くなってしまい、
全層損傷へと発展してしまう危険性があります。

 

もちろん、全層損傷の場合も同じです。

 

創面を乾燥させることにより、
細胞は壊死し、より悪化してしまい、悪循環に陥ります。

 

消毒も、むやみに行えば、表皮化に必要な細胞が消毒薬によって壊死してしまうため、
表皮化が遅れ、いつまでたっても治癒しない慢性難治創の原因になる事があります。

 

つまり、表皮化の敵は「乾燥」と「消毒」ですから、
表皮化へと導くためには、「乾燥」と「消毒」は避けることが必要なのです。


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