スキンケア大辞典【看護師サポートナビ】

創傷が治癒する過程

創傷が治癒する過程

創が浅い傷であっても、深い創であっても、
また、裂傷だったり擦過傷だったりしても、
創傷が治癒する過程は、どのような創傷でも基本的には同じです。

 

創傷の治癒過程を知ることによって、
その治癒を早めるためにすべきことが分かりますし、
治癒を妨害するものを知ることができます。

 

創傷は、組織障害→止血→炎症期→増殖期(肉芽形成)→
(表皮修復→血管新生→結合組織の再生→創の収縮)
→成熟期→治癒という過程を辿ります。

 

ただし、治癒を障害する因子がある場合は、
この過程に違いが生じます。

 

たとえば、深い創である全層損傷では、
組織障害(創傷の発症)から治癒にいたるには、
創面に出た血液が血小板などの血液凝固因子の働きで止血された後、
炎症期、増殖期、成熟期へと進むなどです。

 

炎症期

 

創傷した後の、止血された創面には、細菌などの病原菌が存在し、
異物である凝血塊で覆われます。

 

そして、好中球やマクロファージ(大食細胞)など、
創傷を治す細胞の遊走や細胞分裂を促進する
細胞活性化作用があるグロースファクター(細胞増殖因子)が
壊れた組織や血小板から放出されます。

 

さらに、損傷した組織からは、痒みや痛みを起こす
ヒスタミンやブラディキニンなど、
血管作動物質が放出されます。

 

ヒスタミンやブラディキニンなどの血管作動物質には、
毛細血管の透過性高める作用があり、
血管内膜の隙間を広げ、血球や血漿成分を創部へと漏出させます。

 

このようなは物質の働きによって好中球などの多形核白血球が集まり、
創内の細菌が滅菌されていきます。

 

そして、さらに時間が経つと、白血球の一種である血球が
血管以外のさまざまな組織で成熟したマクロファージというものが放出されます。

 

マクロファージは、口中筋と同じように
感染細胞を処理していきますが、
好中球でも殺すことができなかった細菌を取り込んで処理することができたり、
創内で壊死した組織などの微小な異物を加水分解処理することができます。

 

このように、止血から清浄化されるまでの過程を「炎症期」といいます。

 

炎症期には、ヒスタミンやブラディキニンの作用による痒み、痛みなどの症状のほか、
炎症性物質と白血球などの炎症性細胞の影響により、
創のある部分に浮腫や発赤、熱感などの症状が起こります。

 

増殖期

 

炎症期に、好中球やマクロファージの働きによって
細菌感染が起こらず壊死組織が処理されると、
「増殖期」に移ります。

 

増殖期は、マクロファージや白血球、
そのほかの組織から分泌される
グロースファクターの働きによってコントロールされますが、
この増殖期でのグロースファクターの働きは、
炎症期とは異なる働きを持ちます。

 

増殖期に分泌されるグロースファクターは、
線維芽細胞や血管内皮細胞を遊走・分裂させる働きを担います。

 

そして、線維芽細胞がコラーゲン線維を作り、
それを足場に血管内皮細胞が毛細血管を巡らされることで、
肉芽組織を形成していきます。

 

このようにして作られた肉芽組織は、
色は赤く、コラーゲン組織は細くて、
少し触っただけでも崩れて出血することがあるなど、
組織としては危ういものです。

 

しかし、この肉芽組織は、とても血流に富んでいます。

 

そのため、細菌などに対しては抵抗力があります。

 

肉芽組織が形成されると、組織中のコラーゲンを足場として、
グロースファクターによって刺激された表皮細胞が
遊走し、分裂して、表皮化へと導かれます。

 

このとき、肉芽組織の線維芽細胞は、平滑筋線維を持つようになり、
筋線維芽細胞と呼ばれるようになります。

 

筋線維芽細胞は、創の中心に向かって並びますが、
筋線維芽収縮することによって、
創辺縁部は創中心に向かって収縮します。

 

このように、創部は収縮するため、受傷時の10%のサイズになることがあります。

 

創の総面積が小さくなることにより、
肉芽を盛り上げる面積も減るので、
辺縁部からの表皮化は、飛躍的に速くなり、速く治癒へと向かいます。

 

肉芽組織が形成され、表皮化へと導かれる増殖期には、
肉芽組織が乾燥しないように、浸潤環境を維持することが必要です。

 

また、肉芽組織は、もろく弱い組織なので、
擦る、引っかくなど物理的刺激による障害を避け、
肉芽組織の形成を妨げないようにすることも必要です。

 

当然、消毒薬などの細胞の働きを阻害させる薬剤は
使わないようにします。

 

成熟期

 

組織が締まり、丈夫になる時期を「成熟期」といいます。

 

増殖期では、肉芽組織のコラーゲンが細く、
毛細血管も無秩序の状態で、もろい組織です。

 

しかし、成熟期になると、
再構築され、太いコラーゲンと系統的な血管網が形成され、
丈夫な組織となり、完全な表皮化へと導かれます。

 

創傷としては「治癒(瘢痕治癒)」という状態になります。

 

ただし、強固になった組織の部分は弾力性が低下するため、
褥瘡などができやすくなるリスクが高くなります。


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